LV2残飯ダイノーズ

LV1頑丈の話。

ココドラ・ノズパズ・ダイノーズ・コイル・クヌギダマ等、これらのポケモン
低HPからの頑丈発動→持ち物や技でのHP復活という戦術によって
相手が無対策の場合は完封さえし得る性能を持っています。

シングル環境で主に使われているのはココドラです。
がむしゃらという一貫性が高く破壊力の高い技の存在から
他のLV1頑丈とは一線を画す突破力が評価されているのではないでしょうか。

持ち物としては

  • 無対策の場合は3タテまで狙える貝殻の鈴
  • 後出しが効き、無償降臨の場合は2回の行動が保証される木の実ジュース

等が挙げられます。


この悪質極まりない戦術は、シングルでは対策必須レベルだと広く認知されています。
しかし、現環境において、LV1頑丈という戦術はさほどメジャーではありません。

理由は様々ですが、
ステルスロックを考慮すると先発しか出来ない(特に霰の場合は先発でも1度しか動けない)
・ 連続技を持つパルシェンの台頭
・ 鬼火・催眠技・ゴーストタイプ(がむしゃら)、身代わり持ち(痛み分け)で流す事が出来、以降 後出しが効かない事から腐る
等があります。

特に霰 ・ ステルスロックの採用は構築に全く負担がかからない。


そういった理由から、現在LV1頑丈と呼ばれる一連のポケモン
ヌケニンと同じように相手の選出を抑える事しか注目されていない節があります。

仮に選出されたとしても「ステロ撒いて1:1交換が出来ればいい」といった消極的な使われ方。


…たしかに、それだけすれば一応の仕事は果たした事になるかもしれません。
しかしLV1頑丈の悪質さというのは、
「無抵抗な相手のパーティを半壊させる」部分にあると私は思います。

1:1交換+αだけならば 他のポケモンを使った方がよっぽど有用。

何も出来ずに自分のポケモン達が傷ついていく様を
しっかりと相手に見せつける、ポケモン界において最も悪質な戦術がLV1頑丈なのです。

                                                                                                                                                  • -


――前置きが長くなりましたが、
ここからは肝心の「LV2残飯ダイノーズについて書いていきます。


まずは基本的な特徴・ステータスから

タイプ:岩/鋼 
特性:頑丈(HP満タンの状態で倒されそうなダメージを受けてもHPが1残る)
理想実数値:H14 - S5
HP回復手段:痛み分け

その他
・ 砂ダメージを受けない
毒・猛毒状態にならない
・ 特性:磁力によって交代不可
・ 頑丈のその他の効果として一撃技でダメージを受けない
  またHP満タンの状態で相手を倒した場合、相手の「みちづれ」状態を無効化する
といった特徴があります。


そして重要なのがマジックコートの存在。

あまり目にする機会の多い技ではありませんが、
小さくなるフワライドやマジックミラーネイティオ・エーフィ等を
採用した事のある方は その有用性を御存知だと思います。

考察wikiを参照して頂ければわかる通り、
状態異常技、挑発、ステルスロック等を相手に跳ね返す事の出来る技です。

Lv1頑丈の弱点の1つ、催眠技や鬼火を跳ね返す事が出来るのは非常に大きい。
痛み分けをメインに据えるダイノーズとしては、特に挑発を跳ね返せる点が嬉しいですね。



さて、ここからが本題
何故持ち物が「たべのこし」なのか。
こちらについて述べていきます。


LV2ダイノーズの持ち物として代表的なのは、木の実ジュースとラムの実です。
双方 リスク軽減という利点があり、各人の好みで選択されています。

――基本的に残飯という持ち物は、耐久型のポケモンが所持するアイテムです。
HPが14しかないダイノーズの回復量はたったの1。
更に、痛み分けで全快することを前提とした戦術をとるポケモンなので
役に立つ場面が全くないように思われるかもしれません。


が、ここで思い出して頂きたい。 LV1頑丈の最大の弱点は
「霰で頑丈が潰れて動けずに終わる」「ステルスロックで頑丈が潰れることから先発でしか起用出来ない」 事です。

ユキノオーステルスロック持ちを採用したパーティは非常に多く、
特に最近ステルスロックの流行によって、ウルガモスさえ採用を躊躇うようになりました。

選出時点で大きなリスク(=まともに動けず腐る可能性)があるようでは、
そのポケモンはパーティに貢献出来ているとは言い難い…。

ステルスロック対策として、
こらえる→木の実ジュース発動で1度だけ動けるココドラというのも登場しましたが、
前述の通り それでは全く悪質ではありません。ぬるい。



…おわかりでしょう。
この最大の障壁である 霰・ステルスロックに対する回答となるのが「たべのこし」というアイテムです。


残飯によるHP回復はたったの1ですが、霰やステルスロックのダメージも1
ダメージ処理の順番は霰ダメージ→残飯による回復であるため、
ステルスロックだけでなく、霰ダメージによる頑丈潰しも防ぐことが出来ます


このことで、多くのパーティに対して柔軟な選出をすることが可能になる上、
天敵であったユキノオーを自らのパーティに採用することも出来ます。構築の幅も大きく広がるでしょう。
(霰は氷タイプを除いた殆どのポケモンにダメージが通るので砂よりシナジーが強い
またユキノオーは宿り木の種も覚えるのでコンボ性は格段に高くなる)

…木の実ジュースを持てないので 交代出しは効きませんが、
死に出し、退場技からの繰り出しに加えて
ハッサムウォッシュロトム等の後攻とんぼ・ボルトチェンジからも場に出せるので
何度も痛み分けをして相手側に壊滅的なダメージを与えられます。


痛み分けの仕様上、
最後の一押しを決め辛い・身代わりに極端に弱いという欠点はありますが
他には無い優秀な性能を持っており、一考の価値は大いにあると思われます。

                                                                                                                                                  • -


――最後に例として技構成を1つ。

痛み分け / 守る / 毒々 / マジックコート @ 残飯

痛み分け … 主力かつ回復手段。攻撃技でないので挑発されると使用不可
また身代わりに対しては不発になるので起点にされない相手を選ぶべき。

守る … 最後の一押しを天候・毒・宿り木ダメージ等に頼る事が出来る。
相手のHPによってはHPが中途半端(12程度)に成りかねないが、守る連打で頑丈復活も狙える。
挑発持ちかを見極める様子見手段としても極めて優秀。

毒々 … 主に再生技読みで使用する。羽やすめハッサム等には入らない。
タイミングを間違えると即死に繋がることから、相手の思考パターンを見極めてから使用することが望ましい。

マジックコート … 最も重要な技
火傷・眠り・挑発状態は機能停止に繋がるので、
それらを使用され得る場合はタイミングを見つつ、跳ね返したい。
挑発以外は根本的な解決になっていない事も多いが、アドバンテージは取れる。


再生技持ちを切る場合は、毒を持たずステルスロックなどを撒く事も可能。
が、その場合は相手にとって対策が非常に容易なので 毒の搭載を推奨します。


…ちなみにマジックコートは宿り木の種は跳ね返す事ができません。
また、処理の順番は残飯による回復→宿り木によるダメージ→火傷であるため
火傷や宿り木のダメージが1だからといって頑丈は復活しないことに注意。


                                                                                                                                                  • -

BW発売から1年がたった今でも全く耳にしない事から
何らかの致命的な欠点があるのかもしれませんが、強力な戦術であると私は考えています。
「こんなのこうすれば余裕で落ちるから使えないよ」という部分があれば御一報ください。